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HARVARD SQUARE REVIEW + hitomedia™







新学期の授業-5 "The Causes of Great Power War"

(卒論の進捗を管理するゼミがもう一つありますが)今学期最後のご紹介にして最も力を入れているのがこの科目。科目名の副題は"WORLD WAR I, WORLD WAR II, AND WORLD WAR III?"と極めて挑発的なものです。国際関係論はお隣のタフツ大学にある名門フレッチャースクールに比べて弱いのがKSGの難点ですが、中々面白い視点を叩きつけてきました。

コース概要はこのとおりです。「このコースは、理論的・経済的・社会的・政治的・軍事的に第一次世界大戦と第二次世界大戦の原因を考察し、その知見を2020年以降の米国と中国(またはその他の覇権国)との戦争に応用させることにある。英国はかつてドイツに対抗するために米国に(覇権を譲るという)大幅な譲歩を行った。今米国は「非民主国家」中国に対して同じような服従をすべきなのか?かつてヒトラーと日本の軍国主義者は自分達の能力を超えた-つまり勝てるはずのない相手に挑むという-並外れたリスクを取った。一方で抑止は当時機能しなかったし、今後も機能しないだろう。このコースにおけるkey questionは、戦争を誘発しうる将来の国際情勢を分析するだけでなく我々はどのように戦争を回避するか?ということである」

てか中国人がみたらキレるんじゃないか、というコース概要ですがどうやら中国人学生はゼロ。しかし、中国脅威論はこのリベラルな学校でも大きな影響を及ぼしているという良い一例かと思います。

これまた80歳にならんとするローズクランス教授は穏やかに語りかけます。

私の関心は「台湾は現代のSarajevo(サラエボ)か否か」ということである。

仮に台湾がサラエボだとして、どうすれば世界大戦を避けることができるだろうか?

例えば日中の雪解けムードの象徴として語られる温家宝の訪日スピーチにおいても「台湾問題だけは妥協しない」というメッセージが送られていたことは記憶に新しいところです。全体として日本への気遣いが透けて見える内容なんですが。

ともあれ親台かつ東アジアの友好を唱える私としてはこれは捨て置けません。

しかし、これまでの経験では中国人が一番こだわるのは歴史ではなく台湾問題です。従ってさすがの私も正面切って中国人と台湾についての議論をしてきませんでした(もちろん彼らは極端なほどリベラルな連中です)が、早速「手巻き寿司」をダシに先の週末に中国人を4人招いてみました。

なぜか私の嫌いなウニを$20分も持ってきてくれた中国人達に大いに飲んでもらったところでおもむろに切り出します。

「で、ちょっとややこしい問題なんだけど台湾についてどう思う?」
「え、台湾?」
「そう、台湾。君らのように教育レベルの高い若い世代はぶっちゃけどう思ってんの?俺から見ると君らは台湾なんて別にどうでもいいと思ってんでしょ?」
「一般の人にとって台湾は聖地みたいなもんだ。中華世界の最後の1ピースなんだよ。絶対譲れるもんじゃない。そういう教育を受けてきてるんだ」
「個人的な意見だけど、まあ台湾の話は台湾に住んでいる人が決めればいいんじゃないの。台湾も中国に依存しないで飯が食えるわけじゃないけどね」
「Taka、忠告しておくが中国人と台湾について話すときは経済面だけに絞らないと。政治の話は絶対しちゃだめだ」

予想よりはリベラルな回答が帰ってきましたが、彼らはハーバードにいる中国人の中でもさらにリベラルな一派だということには留意が必要です。今後教育が浸透していけばある程度融和的な解決方法を模索できるのか(現状維持が一番良いと思いますが)、難しいところです。来年春の総統選挙もどうなるか興味深いですね。

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プロフィール

山崎 貴弘
山崎貴弘(やまさき たかひろ)
MPI(Management Policy Institute)フェロー。2002年京都大学法学部卒業。現在、ハーバード大学Kennedy School of Government、MPP(Master in Public Policy)プログラム在籍中。Ezra Vogel教授の元で開催されるハーバード松下村塾幹事(2007年度)。
MPI:http://www.mpi-net.org/

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