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Legislature of North America(北米議会)へようこそ-3!

ということでCommitteeがFloorに提出する法案の中に私の公的資金で銀行セクターを支えろ、というアイデアも無事含まれることになりました。

今度はこの法案を巡り党内での調整が発生します。というのも、もし党内で「この法案をつぶすぞ!」となってしまうと、「Taka、お前は何でこんな法案のco-sponsor(共同提出者)になってるんだ!裏切り者め!」ということになりかねません。

本会議場では各委員会から2つずつ、計10個の法案が審議されるところ、共和党として優先順位付けをして戦うべき法案が決まりました。ここでポイントなのは、「民主党が割れそうな」法案に戦場を絞ること。ということで、どう調べてきたのか「各法案における民主党内の意見分布状況」みたいなデータを持っているメンバーがおり、これと共和党メンバー自身の選好によって「徹底抗戦」の法案を決めます。結果、私のコバンザメ法案は無事「民主党一枚岩で廃案に持ち込むのは難しい。また、共和党員の修正案も入っており、特に内容面で問題なし。よって反対しない」というステータスを得て一安心です。

一番大きな問題になったのは「CO2削減法案(別名:クリーンエネルギー法案)」。特に「CO2削減のため原子力発電の利用を一層推進すべき」という民主党の一部議員が提出したamendment(修正案)に注目が集まりました。これについて民主党は3分の1が賛成、3分の2弱が反対。ということで共和党が一致団結して賛成すれば、民主党の過半数の意思に反し、これを通せます。これはいつも劣勢に置かれている我が党にとっては千載一遇のチャンス

本会議前の共和党員集会では「この修正案を共和党として通そう」という機運が高まります。しかし、原発について必要悪と考えている私は、CO2の削減に向けて原発をさらに利用するというのはコスト・ベネフィットの観点から割が合わない、という立場であり、ここで党員としての立場と一議員としての立場にジレンマを抱えることに。そのまま本会議が始まり、本法案の審議時間になってしまいました。

まずはstaning vote(起立採決)が行われます。本会議での投票方法は3つあり、ほとんど異議が予想されないものをvoice vote(発声採決)で、一定数の反対は予想されるが概ね賛成票が多数を占めるものをstanding voteで、きちんと票数を把握する必要のあるものをroll-call vote(点呼投票)で、それぞれ決めることになります。通常時間節約のためstanding voteで決まるのですが、この修正案については賛否が微妙なため、roll-call voteに移ります。roll-call voteでは一人ひとり名前が読み上げられ、各議員が「aye=yes」か「nay=no」を表明し、前のスクリーンに党派別の賛否数がリアルタイムに映されることになります。これはかなりの臨場感があります。

ともあれ第一ラウンドの起立採決で党議拘束?に反し、「反対」で起立して党内から非難を浴びた私は他の共和党員からの説得を受け、自分の立場を見直さざるを得なくなりました。こちらもそこまで確固たる根拠があって反対しているわけではなかったため、党の決定を覆すほど強い意見がありません。態度を決めかねたままroll-call voteが始まると、これが大接戦で最後の最後まで賛否が決まらない状態となってしまいました。とうとう、間の悪いことに(ラストネームのアルファベット順で)最後から二番目になる私の番になってもどちらが多数になるか分からないまま・・

いや、情けない話ながらこれには正直困りました。私のところで既に勝負がついているなら気は楽で党議拘束に反してもほとんど問題はないでしょう。しかし、ここで私がNOと言ってしまえば過半数を取れず、賛否同数で下院議長に採否が委ねられ、恐らく否決されるでしょう。

そこでとっさに出た応えが「aye」。最後の議員も賛成票を投じ、結局修正案は通りました。社会に大きなインパクトを与えうる法案がさほどの根拠もなく決まってしまう恐ろしさを自分が味わうとは・・

現実の政治家も必要な情報を欠いたまま票を投じざるを得ないわけで、これは改めて大変な仕事だと思いました。政治家の本来持つべき責任の重さということでしょうか。

というわけでこのクラスではアメリカ政治を色々な角度から学ぶことができ、とても有意義でした。しかし、平均以上の成績をとることはあり得ず、大統領のクラスと同じ轍を踏んだかもしれません・・

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プロフィール

山崎 貴弘
山崎貴弘(やまさき たかひろ)
MPI(Management Policy Institute)フェロー。2002年京都大学法学部卒業。現在、ハーバード大学Kennedy School of Government、MPP(Master in Public Policy)プログラム在籍中。Ezra Vogel教授の元で開催されるハーバード松下村塾幹事(2007年度)。
MPI:http://www.mpi-net.org/

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