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石川 善樹(いしかわ よしき)

「ハーバードから見える景色~Standing on the shoulders of giants~」



留学における小さな成果と大きな成果。

1.「ぺ」がつく有名人といえば?


4月に入り、日本では今頃、新人勧誘の季節だろうか?そういえばよく新勧の飲み会の席などで、「○から始まる有名人を順番に挙げていき、言えなかった人が飲みねー」などというゲームをやったことがあるが、当時困ったのが「ぺ」である。「ぺ」から始まる有名人といえば、



・ぺ・ヨンジュ
・ペー・林家(英語風)


以外にほとんど思いつかず、私は苦し紛れに「カトちゃん、ぺ!」などどやって周りの冷笑を買い、結果として散々飲まされる羽目になったことを、苦い思い出として持っている。


しかし、およそ2年間に及ぶ留学生活を経て、「ぺ」から始まる有名人リストに、「ペルツマン効果」で有名なサム・ペルツマン教授(シカゴ大学)を加えることに成功したことは、留学における小さな成果の一つと、私は自負している。


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(サム・ペルツマン教授:写真引用元)


2.ペルツマン効果?


ペルツマン効果とは、ある対象の安全性を高めるために行った規制が、結果として対象の危険な行動を誘引してしまう効果のことを言う。非常に有名な例が、アメリカにおけるシートベルト法だ。


1960年代後半に、アメリカで全ての新車にシートベルトを装備するよう、法律が制定された。その結果、確かに自動車事故1件あたりの死亡率は低下した。しかし、自動車のドライバーは、「俺/私はシートベルトしてるから、大丈夫だぜい!」と、より勇猛果敢に危険運転をするようになり、結果として自動車の事故件数が増加した。


すると、このシートベルト法で一番割を食ったのは、歩行者である。車が(シートベルト法制定以前と比べて)危険運転をするので、事故に巻き込まれる確率が上がってしまったのだ。


嘘のような話だが、サム・ペルツマン教授が1975年に発表した論文によると、シートベルト法により、


・自動車事故1件あたりの死亡率は減少したが、事故件数は増加した
・自動車ドライバーの死亡者数にほとんど変化はなかったが、歩行者の死亡者数は増加した


と、その分析結果を紹介している(この結果に対しては、様々な賛否両論があるのだが、それはまた別の話)。


3.目先のニンジンを追うことの危険性


何事もそうだが、物事にはいい面と悪い面がある。「安全のために、シートベルトを締めましょう!」というのは明らかにいいことのように思えるが、よくよく考えると、ペルツマン効果が示すように、思わぬところに害が及ぶこともある。


パブリック・ヘルスを学ぶものとして、「目先の健康を追うことで、結果として大きな代償を追うこともあるのだ」ということを学べたことは、留学における大きな成果の一つであると、私は自負している。

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プロフィール

ハーバードブロガー:石川 善樹
石川善樹(いしかわ よしき)
1981年、広島生まれ。小学生の頃、野口英世の伝記に感銘を受け、「世界の健康のため、私が出来ることは何だろうか」と人生の命題に出会う。医学部健康科学科を卒業後、ヘルスケア系コンサルティング会社に勤務。同時に、友人とUnited Flowersを立ち上げる。現在は、ハーバード公衆衛生大学院(Health Policy and Management専攻)に在籍。趣味はラクロス。

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