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石川 善樹(いしかわ よしき)

「ハーバードから見える景色~Standing on the shoulders of giants~」



タバコ会社が行う、禁煙キャンペーン!?

1.タバコを吸うカウボーイの末路


「タバコを吸う=かっこいいカウボーイ」


そんなイメージがあるのは、間違いないだろう。例えば、こんな具合に↓


marlboro.jpg
画像引用元


けれども、そんなカッコいいイメージのカウボーイが、こんな歌を歌っていたとしたら、どうだろうか?



<歌>
You don’t always die from tobacco
Sometimes you just lose a lung
Oh, you don’t always die from tobacco
Sometimes they just snip out your tongue
And you won’t sing worth a heck
with a big hole in your neck
Cuz, you don’t always die from tobacco


<歌:和訳>
タバコを吸ったからといって、必ず死ぬわけじゃないさ
ただ、たまに肺をとることがあるぐらいさ
そうさ、タバコを吸ったからといって、必ず死ぬわけじゃないさ
ただ、たまに舌をとることがあるぐらいさ
そして、首に空いた大きな穴で、大声で歌うことが出来なく無くぐらいさ
そうさ、タバコを吸ったからといって、必ず死ぬわけじゃないさ


このCMの面白い所は、当初カウボーイの姿をほれぼれとみていた女の子達の表情が、みるみる暗い表情に変わっていくところだ。そして最後の、「850万人以上ものアメリカ人が、タバコに関連した病気を持っています」というメッセージ。このCMを印象付ける、強烈な数字だ。


さて、このCMは一体全体何をしたいのだろうか?


2.タバコ会社が行う、禁煙キャンペーン


このCMを作ったのは、American Legacy Foundation(ALF)という、タバコ会社の寄付で成り立っている財団である。


2000年より青少年(特に12-17才の女の子)向けに始められた、ALFの禁煙キャンペーン:truth project(真実プロジェクト)は、従来の禁煙キャンペーンとは幾つかの点で大きく異なる。


一つは、「タバコは健康を害します」というメッセージを出すことよりも、「タバコ会社が君達をだまして将来の健康を奪っています」と、タバコ会社を直に攻撃するキャンペーンを行ったことだ。


もう一つは、きちんとしたパブリックヘルスの理論に基づき、理論的にプロジェクトが設計・評価されていることだ。多くのこの種のキャンペーンは、まずキャンペーンありきで、後からお情けのように理論を付け足しているのとは大違いである。


3.そもそも何故タバコ会社が、禁煙キャンペーンをしているのか?


「タバコ関連の病気のせいで、医療費が高くついている」


とアメリカ各州はタバコ産業を訴えていたわけだが、和解の一つとして、禁煙の啓蒙活動を行う財団:American Legacy Foundationの設立に協力することになった、という歴史がある。


日本を振り返ってみると、JTが「大人たばこ養成講座」というキャンペーンを大々的にやっているが、禁煙後進国の恥を世界に示しているようで、実に情けない。


日本に帰ったら、私もtruthプロジェクトのような、セクシーでアバンギャルドな一大キャンペーンにぜひとも取り組んでみたい。


もちろんその際には、喫煙のポジティブな側面(ストレス解消、優越感、ネットワーク作りに役立つ、など)を、どのようにして代替的に提喫煙者に対して提供できるかを考えなければいけないと思う。そうでないと、青少年はタバコをやめたはいいが、他の危険行動(暴力、など)に走る可能性や、あるいはタバコを吸う人に対する偏見・差別意識を助長してしまう可能性もあることを、十分考慮に入れながら慎重に行いたい。


参考文献:
1. truth projectの理論構築に関するpaper
2. truthプロジェクトに関するWikipediaの記事

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プロフィール

ハーバードブロガー:石川 善樹
石川善樹(いしかわ よしき)
1981年、広島生まれ。小学生の頃、野口英世の伝記に感銘を受け、「世界の健康のため、私が出来ることは何だろうか」と人生の命題に出会う。医学部健康科学科を卒業後、ヘルスケア系コンサルティング会社に勤務。同時に、友人とUnited Flowersを立ち上げる。現在は、ハーバード公衆衛生大学院(Health Policy and Management専攻)に在籍。趣味はラクロス。

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